演奏会でルネサンスポリフォニーやロマン派の曲をやることになった私たち。
素敵な曲に出会えたまではよかったものの、言葉や旋律にぶんぶん振り回されています。
ここのところ練習も停滞気味で、なんとか脱却したい!
…と思っていたところ、団長のツテで何やら面白そうな勉強会があるとのことで、団員数名で参加してきました。
渡辺研一郎さん主催の勉強会「古ネウマの集い」!
ネウマ譜とは?
すごくすごく簡単にいうと、13世紀頃から用いられているグレゴリオ聖歌などが記譜された四線譜に四角く黒い音符でかかれた楽譜です。
これは音高を正確に記譜するために古ネウマをもとに後の人が作り出した記譜法で、五線譜のもととなっています。
では、古ネウマとは?
ネウマ譜が生まれるもっと前、9世紀〜11世紀頃に用いられたグレゴリオ聖歌を歌う際の旋律の動きを書きとめた記号のようなものです。
ネウマ譜や現代の五線譜のように線があって1音1音の音価や音高を示すのではなく、記号によって音の動きや流れ、音の重さを示すものです。記号一つ一つに名前がついています。
つまり、記譜法って
音の動き→音高→音高と音価
と進化していったのですね。
さて、今回の主な講習内容はこちら。
・グレゴリオ聖歌の四線ネウマ譜を読み、オルガヌム的なドローンを感じながらユニゾンで美しく歌う。 ・古ネウマを理解し、古ネウマを手がかりにグレゴリオ聖歌の旋律を歌い回す。 ・千原英喜さんの「おらしょ」の旋律を用いて、音符を1音ずつ捉えるのではなく、古ネウマを生かして音に動きを持たせて歌う。
講師の渡辺研一郎さん、とても若い方なのですが、教えてくださる内容がネウマ初心者の我々にもとにかくわかりやすく、目から鱗がぼろぼろと落ちまくりました。
今回扱った「おらしょ」。
合唱人であればいつかは歌うかもしれないこの名曲には、グレゴリオ聖歌の旋律が引用されて、五線譜で記譜されています。
この曲を古ネウマを生かして歌うことで、五線譜でかかれると音の羅列になりがちなメリスマ部分に確かな動きが生まれ、まさに中世を感じさせる響きで歌うことができます。
この、「古ネウマを現代曲に生かす」という視点こそが、何よりの目鱗ポイントでした。
古ネウマを生かす視点は、我々が苦労しているルネサンスポリフォニーやロマン派の曲はもちろん、日本語の曲にだって用いることができるのではないかと思います。
五線譜にかかれた目に見えるもの —音高や音価、それ以外の強弱などの情報ー ばかりに気をとられて、どんなに音の動きや流れをないがしろにしていたのかを痛感しました。
かといって、我々が歌うのは単旋律ではないので、音の動きと縦の響きをどう組み立てていくか、というのが今後の大きな課題になりそうです。
古ネウマだと音高も音価も曖昧で、四線ネウマ譜や現代の五線譜だと音の動きや重さが見えにくい…。
記譜には限界がある。
生き生きとした臨場感こそが音楽の真髄であり、楽譜は補助的なものでしかないということですね。
今回ひとつの手がかりを掴めたので、これからの練習はさらに充実したものとなるでしょう♪
こちらが、千原英喜作曲「おらしょ」第一楽章の冒頭を古ネウマで表現した一例です♪